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京都党意見陳述の要旨

本日、市会運営委員会にて意見聴取に呼ばれ、本請求における考え方を
述べさせて頂きました。以下がその内容の要旨です。

それでは、京都市会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき市会議員の数に関する条例制定請求に関する意見陳述を行います。

直接請求代表者、佐々木たかしでございます。
このたびは、こういった場を頂き一言感謝申し上げます。
私のほうからは、本件につきまして、これまでの経緯をご説明申し上げます。

 昨今、大阪を初め、全国的に議会のあり方が問われておりますことは、ご周知の通りでございます。議会改革の必要性は、既にご理解を頂いているところかと存じますが、改革は常に総論賛成各論反対で、なかなか決着をみないところでございます。
 昨年9月に、加藤議長宛に議員定数削減と一票の格差是正についての要望を一市民として、正確に申しますと一政治団体として持参したわけですが、市民が持ってきた要望書を受理されないという議会の代表としてあるまじき行動をとられたわけでございます。開かれた議会を標榜される京都市会にあって、はなはだ遺憾と申し上げざるを得ません。
 我々は市民の声という形で持って参ったわけですが、ご理解を頂けず、耳すらお貸し頂けない今の議会に対して、やむをえず、直接請求という方法で、何とか市民の声に耳を傾けて頂きたい、市民の思いを受け止めて貰いたいという一心で、本日に至っている次第でございます。
 直接請求は、制度上、自署捺印したものを一ヶ月以内に収集せねばならないという大変高いハードルがあるわけでございますが、準備もそこそこに、一ヶ月で4万近い署名が集まったというこの大きな思いをしっかりとお受け留め頂きたいと存じます。
 また、収集も、前半はこの署名に対する認知がないままの活動でほとんど集まりませんでした。実際、工程の3分の2を終えた時点での収集署名数は1万。
後半戦に入り、認知が広がると共に、徐々に集まり始め、実質、最後の10日間で実に3万近いの署名が集まりました。
 これはひとえに、市民の皆様の中で認知さえ頂ければ、皆さん賛同して下さるということです。終盤、そういった盛り上がりの中で、ほんとうに多くの方が、この定数削減を支持してしてくださいました。この市民の怒りとも言える思いを何卒お汲み取り頂きたいと思います。

次に直接請求の審議にあたり、触れておかねばならない点について上野よりご説明申し上げます。

直接請求代表者 上野ふみおでございます。

 まず、審議冒頭にあたり、本条例案の直接請求がこの時期になった経緯でございますが、原則的には、これまで他都市の定数削減をよそに、京都市がこの問題を実質上棚上げにしてきたところにございます。先ほど佐々木よりご報告のありましたとおり、これまで京都市議会を市民目線で見守ってきたわけでございますが、9月時点で、その意思なしと判断し、要望に伺ったわけですが、お聞き届けいただけなかったということで、京都市民の一員としてそこからのスタートとなったわけでございます。
 また、今後4年間の市民の民意を反映する、また最も重要な権利である選挙権に関する問題でございますから、最新の国勢調査の結果を反映させるべきであり、今の時期はそういった観点において最も適当な時期であると考えております。
 もちろん、通常、条例等法令を施行するには一定の周知期間が必要だと言われております。
しかし、議員定数削減問題は、その条例によって影響を受ける人間が、立候補者に留まる為、最近では、その大半を占める議員によって議決された場合、影響を受ける者が納得して議決しているのであるから、周知期間をそれほど必要としないというのが通例になっております。拙速な議論はよくないわけでございますが、これまでほとんどの議案は、数時間の審議で議論を尽くされておりますし、何より議会と行政のやり取りの中でも「スピード感を持って」という言葉が頻出しておりますわけでございますし、任期途中で削減が実施されるならばいざ知らず、この時期を逸すれば、定数削減は実質4年間行われないということでございますので、「スピード感を持って」熟議頂き、ご決断を頂きたいと思います。

 提案しております条例案は、議員定数を「69人」を「60人」に改め、「北区選挙区 6人」を「5人」に、「上京区選挙区 5人」を「4人」に、「左京区選挙区 9人」を「7人」に、「中京区選挙区 5人」を「4人」に、「下京区選挙区 4人」を「3人」に、「南区選挙区 5人」を「4人」に、「右京区選挙区 9人」を「8人」に、「伏見区選挙区 12人」を「11人」にそれぞれ改めるというものでございます。

それでは、条例案について詳しく村山よりご説明させて頂きます。

直接請求代表者の村山でございます。

まず、お話の大前提としてご理解を頂かねばならないことについて申し上げます。

1点目は、この議論が選挙を意識した政党間の駆け引きの道具になってしまってはいけないということであります。今回の署名にご協力された市民の方々の支持層は多種多様で、

「自民党員やけど署名するわ」
「共産党応援しているけど、議員は減らすべきだね」
「民主に期待してるねんけど、民主党は議員へらさへんの」

などなど支持基盤はそれぞれであり、ここにご列席の議員各位の支持層が大半であり、あくまで私どもはそういった市民の皆様の民意を結集したに過ぎません。従いまして、くれぐれも党利党略などといったものが介入せぬ様な形で真摯な審議をお願いするものであります。

2点目は、この議論が安易なポピュリズム政治を代表するような、選挙目当ての「ただ減らせばいい」という議論にならぬよう、あくまでも議会としてのあり方を真摯に追求した結果として定数削減が導き出されねばならないと考えておりますので、この点もよろしくお願い申し上げたいと存じます。

地方議員・議会のあるべき姿

まず最初に、地方議会はどうあるべきかといった点からご説明致します。私どもが考える議員・議会のあるべき姿は、

直接民主制をベースにした二元代表制を維持しつつも、最小人員での最大効率を図れる議会を目指すべきであるというものでございます。

昨今の地方分権の流れの中で、議会のあり方は次の二つの流れに大別される。

  1. 議員増加&報酬削減(議員のボランティア化・より直接民主制へ)
  2. 議員削減&一定の報酬(議員のプロ化・より間接民主制へ)

 夜間議会や休日議会に代表されるボランティア化を進める市町村は近年増加傾向で、より住民が政治を近く感じてもらえるという利点がある一方、この場合報酬を必然的に押さえる必要性が発生するため、専業政治家は生活が出来ず、兼業ありきということになります。また、よく議員の数を減らすとチェック機能が低下する声がございますが、ボランティア化は議会の業務に専念できないある種素人集団によるチェックが横行するため、事実上のチェック機能が低下する懸念が高いわけでございます。事実、行政は四六時中担当業務に専念し、かたや議員側は自身の仕事の片手間にチェックをせねばならないわけで、より深い知識と政務調査を抜きにしっかりとしたチェックを果たすのは困難であると判断せねばなりません。
 特に権限委譲が多く、1兆6700億からの予算を抱える京都市のような政令指定都市では、議員の業務量は膨大で、これを遂行するためには、兼業ではなく、専業化によって支えられるべきである。すなわちプロ化でなければ、しっかりとチェック機能を果たすことは困難だと言える。従いまして、共産党が支持する前者ではなく、後者、議員削減&一定の報酬ということが当市における議会のあり方であると考えております。
 また議員の削減を進める中で、議員一人当たりの業務量の増加に耐えうる人材、高度な専門性と高い見識を持つ人材の確保を考えた場合、議員削減&報酬削減は、議会機能そのものの低下につながりかねず、有能な人材の確保が益々困難になる可能性があるという前提に立って議論する必要がある。
 同時に、報酬が高すぎるという声は、それに見合った仕事をしていないというところから出ている発想であり、その視点に立って議会は反省と報酬に見合った業務レベルへ引き上げることを考えねばならない。
 地方分権が進む中、今後も議員に求められる業務量は増加し、特に政令指定都市では、高度な専門性が求められております。地方自治は直接民主制をベースに考案されていることから、一定の議員数は必要だとしながらも、その中にあって、最小限の人員で最大効率を求めることは当然であり、議員は一定の削減を進める中で最小人員による最高のパフォーマンスを発揮していくべきであると考えております。

定数削減に関する削減事由

そういった観点に立って、このたびの定数削減に関する削減事由をご説明致します。

 第一に、行財政改革に対し、議会として改革の範を示すべきある、ということであります。
未曾有の財政難にあって、先ほど申し上げましたように、最小限の人員で最大効率を求めていくことが行革の根幹であり、改革の旗振り役である政治家自らがその努力を最初にするべきだというものであります。先だってより、定数削減より報酬削減のほうが削減額が大きいといったような議論があるように聞いておりますが、これこそ安易なポピュリズム政治であり、問題は金額ではなく、この先に続く行革に対する議会の姿勢の問題であります。その点において、削減額はあくまで改革の副産物であり、議会自らが自分たちの改革に着手するその波及性にこそ着目をすべきだと考えております。先の参議院選挙では、自民、民主をはじめ、各党軒並み議員定数の削減をマニフェストに掲げており、特に政権党では、「消費税の引き上げと議員定数削減はパッケージ」(藤井裕久税と社会保障調査会会長)といったような発言もここに起因するものと解しております。

 第二に、二元代表制を堅持するも、少数精鋭によるプロ意識を持った議会運営を目指すべきである、ということでございます。これにつきましては先ほど申し上げましたので割愛させて頂きます。

削減数9人に至った経緯

次に定数削減が9人に至った経緯についてご説明申し上げます。

まず前提としてございますのは、

  1. 原則的に合理的根拠といえる基準値はないということです。これは専門家諸氏、学説を紐解いてもないわけでございまして、どこに落とし所を作るかということがこの問題の最も難解な部分であり、そこをよくご議論頂きたいと存じます。ましてや、ここをてこに反対するというのは、議員定数問題を本質的にご理解されていないと解するほかございません。
  2. 京都党が実施した市民アンケートでは,市民の要望は減らすべきという声が多数であり、現行の選挙区では、ほぼ全ての選挙区で議員の数は不足している認識はないという点でございます。これにつきましては、別紙をご覧下さい。
  3. 議員定数削減は、行革の観点、市民ニーズの観点から全国的な潮流となっており、近年では多くの自治体で減員条例が可決しており、京都市だけが改革の波から取り残されぬようスピード感を持ったご対応をお願いするものであります。
  4. 地方自治は憲法的見地から見て、直接民主制をベースに構成されていることから、その定数は、極端に減員すべきでなく、また急激な変化は住民の民意反映に支障をきたす可能性と混乱を招きかねないことから避けるべきであります。したがって、その範囲内での削減数を導きだしております。
  5. 委員会中心主義の議会運営を考えた場合、一委員会の最低人数は6~7人(全国町村議長会政策審議会・平成12年)、6~10人程度(山梨学院大学江藤俊昭教授試算)が必要であり、京都市の場合、政令市であること(その人口規模)から議長を含め10人×5委員会、50人を切るような削減は行うべきではありません。

これらの前提を考慮し、以下の適正数を導き出した次第でございます。

《適正数》

9名削減 60名(北・上・中・下・南・右京・伏見それぞれ1名減員・左京2名減員)

  1. 各選挙区ごとの議員一人当たりの有権者数は、
    西京(20214人)
    伏見(18638人)
    山科(18083人)の順で高く、
    上京(12817人)
    左京(14165人)
    南区(15364人)の順で低い。
     しかし、議員定数に関するアンケート(調査主体・京都党)を見ると、議員の少ない西京、伏見、山科エリアでも議員の数が少ないという声が他地区同様少数である。つまり、これらの地区に定数に合わせることは、民意の反映に差支えが出ないと考えられる。ちなみに、これらの減員を実施した場合でも、議員の少ない西京区を上回らない。
     また、市民の選挙における公平性を担保する一票の格差を是正することもできることから、そこに定員数をあわせることとする。
     結果、一票の格差は、1.57倍から1.26倍へ低下し、格差是正は大幅に解消される。また、9名削減が最も格差是正される数字である。
  2. 同規模の政令指定都市との比較(札幌市68人(人口188万人)、神戸市69人(152万人)福岡市62人(140万人)、川崎市63人(132万人))から、他都市並みにした場合、上記の定数が近似値であり、この観点からも適正と言える。
     また、単純に人口割をすると格差は大きく目立たないが、一票の重みを論じるならば、有権者数に対する議員数も合わせて見なければなりません。
     その場合、福岡108万人、川崎113万人、京都115万人となりこのあたりの自治体が近似値になりますが、それぞれ議員数は62、63人といずれも京都より大幅に少ない。
     細かく申し上げますと、概算数字ですが、

    札幌市 有権者数156万に対し68名、議員一人当たりの市民数 22,900人
    神戸市 有権者数124万に対し68名、議員一人当たりの市民数 17,900人
    福岡市 有権者数108万に対し62名、議員一人当たりの市民数 17,400人
    川崎市 有権者数113万に対し63名、議員一人当たりの市民数 17,900人
    京都市 有権者数115万に対し69名、議員一人当たりの市民数 16,600人

     京都市の場合、60名へ減員した場合でも一人当たりの市民数は19,100人と札幌と比べると多く、神戸福岡川崎と同程度にするとした場合でも64名程度となる。
     尚、この間にも、福岡市が一名減員し、京都市と有権者数が二万人しか差異がない川崎市は来月、2月議会で3名減員が可決される見込みで、きしくも我々が提唱する数字と同じ60名となる見込みであります。
     全国各地、多くの自治体でこうした改革が進む中、京都市会も遅れを取らぬよう他都市並みになる努力をお願いしたいと思います。

  3. 選挙区によっては欠員等で既に減員数で議会運営が行われていること、またその選挙区において民意の反映に著しい支障をきたしたという議論は昨今の市会を見る限り皆無です。少なくとも、うち一議席は、私の選挙区でございますが、私がいなくなってから左京区の議員の方々の口から「一名欠員で大変だ」という話は聞いた事がございません。加えて前回の3議席削減後もこのような議論が見られないことを鑑みると、9名程度の減員は、議員の努力によりカバーできるものと判断する。
  4. 9議席削減によって、影響を受ける民意は実質全体の2%に過ぎないという点でございます。この種の議論をすると、定数削減を行うことで、民意が反映されないという声があるわけでありますが、これまで全国的に議員定数を削減してきた結果、そういった声はまず上がってこないというのが実情です。なぜならば、定数削減によって反映されなくなる民意は極めて少数だからであります。これは、別紙をご参照頂きながらご説明申し上げますが、
     今回削減数(9議席)に掲げているが、全議席の中で下位から占める9議席が占める票数は37635票余りで実質3.5%の民意に過ぎない。さらに、既に現在の欠員2議席分の民意は反映されておりませんので、14950票を差し引きすると、削減を実施したとしても、実質民意は2.2%分削減されるに過ぎません。もちろん、この民意を無下にするわけではないが、それを言い出せば、落選者に投票した民意すらも汲み上げねばならず、それでは民主主義そのものの否定につながるものでございます。
    また、現在、実質65%の民意が反映されていないということを鑑みますと、民意が反映されなくなるという論拠がいかに乏しいかということは言うまでもございません。

これらを十分に検討した結果、60名を妥当と判断致しました。

最後になりますが、

 これまで全国的な議員定数削減問題に注目をして研究して参りましたが、反対する理由は、どれも論理的根拠に乏しく、最終的には自分たちが落選したくないという点につきます。
 京都市議会がそういった議会とは一線を画し、正しいご判断を頂ける事を切にお願い申し上げます。また、私どもは9人減で提出をしておりますが、署名人の多くは、とにかく一人でも減らして欲しいというのが率直な願いであり、我々はその数字に固執するのではなく、良識と見識ある議会人の皆様のご議論でございますから、修正案、対案もあって然るべきだと考えております。そういった事も踏まえて頂き、審議の程よろしくお願い申し上げます。

参考資料

平成19年市会議員選挙)

有権者数1075276名(無投票区民除く)
有効投票数469912票
棄権・無効  8487票
落選者への投票 74772票(全有権者数の6.9%)
今回削減予定分 37635票(全有権者数の3.5%)
現在欠員分  14950票(全有権者数の1.3%)
9人減で実質反映されなくなる票数 22685票(全有権者数の2.2%)
現在民意が反映されていない票数合計703573票(全有権者数の65.4%)
(投票放棄者数+棄権無効票+落選者への投票数+現在の欠員者への投票総数)

※削減分とは、北・上・南・右京区の下位当選者1名および左京の下位当選者2名分の得票数。落選者への投票は、左京区の選挙違反による取り消し候補含む。