対談:『政治評論家 福岡政行 X 村山祥栄』
2015年8月25日「福岡政行インタビュー」
- 村山祥栄
- 福岡先生、ご無沙汰しております。本日はどうぞ宜しくお願いします。
- 福岡政行
- 京都は懐かしいですね。長い間、立命館大学に教えに行ってましたからね。
- 村山祥栄
- そうですよね、当時は立命館で教鞭をとる傍ら、朝日放送の情報番組『ムーブ!』にレギュラー出演されて、京都市の改革に切り込んでおられましたよね。(実はかつて村山が切り込んだ京都市の不祥事問題も、この『ムーブ!』と村山のコラボから始まった!!)
- 福岡政行
- そうでしたね。京都市、酷かったもの。職員は多い。人件費は高い。ガバナンス[※「組織管理」「統制」的な意味合い]が進んでるとは言い難いものがあったよね。
- 村山祥栄
- いや、あの番組はセンセーショナル、強烈でしたよね。放映した内容について京都市からの抗議があったら、その抗議自体報道しちゃう。
- 福岡政行
- そもそもあれは大阪市から始まったのよ。当時すごかったよ。北新地歩いてたら、怖いお兄さんに「明るい夜道だけじゃないんだぜ」って凄まれるんだから。でも実はその兄さんが大阪市の職員(笑)
- 村山祥栄
- あり得る、あり得る(笑)。酷かったですから当時。
- 福岡政行
- 公務員は『公僕』。平均給与は確かに高い。3割近くが非正規の時代にね、一流企業の平均賃金をベースに計算してるんだから、そりゃ高いよね。
まぁ、その『パブリック・サーバント(公僕)』としてだけど、福岡県大野城市はすごいよ。職員300人、コンシュルジュ置いて、全てワンストップサービスですよ。おばあちゃんが役所来るでしょ。「おばあちゃん何ですか」「印鑑証明ね、ちょっと待ってね」って具合。全部やっちゃうの。工夫次第ではやれちゃうんだよね、こういうの。
- 村山祥栄
- ワンストップサービスいいですよね。本当に京都でも出来るようにしたい。
さて、テレビネタ続きで恐縮ですが、福岡政行といえばやっぱり、ニュースステーションじゃないですかね?
- 福岡政行
- 30年前だよ。もう久米さんも71歳、私も70歳ですよ。
- 村山祥栄
- え、70歳ですか?見えないでしょ。元気すぎでは?(笑)
- 福岡政行
- うるさいよ(笑)これでも9年前、ちょうど京都来てた時に大腸がんになってね。大体、京都にはいい思い出ないのよ。イケズだし(笑)。
- 村山祥栄
- いやいや、イケズじゃないですから(笑)先生、話戻していいですか?(笑)思い出深いニュースステーション。私も中学時代、これで政治に興味持ったんです。
- 福岡政行
- そうなの?あの番組は大変だったよ。当時、駒澤大学の助教授だったけど、午後3時ぐらいからずっと打ち合わせ。テレビで初めて、フリップとか議席数を書いた積木とかね、使ったの。あと人形ね。
- 村山祥栄
- ありましたよね、小沢一郎人形とか宮沢喜一人形とか。
- 福岡政行
- あれ、一体100万円位したんだよ。いい時代だったけど。
- 村山祥栄
- 100万円!(絶句)しかし、分かりやすい番組でしたね。今でこそ池上彰さんですが、元祖「わかりやすい政治」でしたよね。あとは、『選挙予想の福岡さん』!
- 福岡政行
- 選挙予想ね。あれ、わざと外すんだよ。アナウンス効果あるからね。
- 村山祥栄
- えっ!当たらない選挙予想、種明かしは「わざと」だったんですか?!
- 福岡政行
- これは企業秘密だよ、企業秘密。
- 村山祥栄
- いや、衝撃です。明かしちゃダメですか?
- 福岡政行
- ダメ(明かしてしまっております。ごめんなさい(笑))
- 村山祥栄
- さーて、閑話休題(ごまかしておりませぬよ)。福岡政行と言えばテレビの顔ともうひとつ、松下政経塾生みの親の一人ですよね。
- 福岡政行
- その話振る?勘弁してよ。政経塾の弟子はもうほとんど破門なんだから(笑)
- 村山祥栄
- 私財80億円を投入して作った松下政経塾。松下幸之助さんの晩年の政治に賭ける思いは本当に強いものがありましたね。世間からは、経営の神様も最期はどうなっちゃたのかって。それは晩年の堀場さん[※故堀場雅夫氏。堀場製作所創業者であり最高顧問。京都党最高顧問]が地域政党に賭けた思いに似たものを感じざるを得ません。
- 福岡政行
- 松下幸之助さんから政経塾の講師を頼まれたときに言われたんだよ。
「政治家になることが目的じゃない。政治家になって何をやるかだ。地域住民の声を政治に反映させられる政治家を育ててほしい。」
京都党もまさにそのものでしょ。それがね、政経塾はこの精神がどこかへ行っちゃったけどね。この前も○○(某党党首※自主規制)に言われたよ。「政経塾は何なんだ」と。悲しい限りだね。
- 村山祥栄
- いや、政経塾は本当に賛否両論ありますが、新しい政治の流れが出来たのは事実ですよ。「地盤」「看板」「鞄」のある二世議員しか政治家になれない時代から、私のその一人ですが、地盤看板鞄・何にもなしの青年が政治に参画できるようになった。これはかなり大きな、功罪の「功」の部分ですよ。
- 福岡政行
- 最初の野田(元首相)の選挙なんか、うちの福岡ゼミの学生が総出でやったんだよ。街頭に立って、ビラを作ってバンバン配りまくった。それしかなかったんだよね。ビラの作り方から演説の仕方まで全部指南してね。
- 村山祥栄
- いわゆる空中戦[※後援会型ではない世論を味方につけて戦う選挙手法]の元祖ですね。でも結果、新しい政治の流れが出来たのは事実ですよ。
- 福岡政行
- それがねぇ、当選したら金持ちの廊下トンビになっちゃって。誰とは言わないけど。京都にもいるだろ。ほんとそんなのばっか。
- 村山祥栄
- 色々胸中複雑のようですね。さて、最近の政治の流れにお話を移しますが、安倍さんの肝いり、石破さんの提唱する地方創生についてはどう見ておられますか?
- 福岡政行
- シルバー3000万人時代、赤ちゃんは100万人切る時代だよ。グリーン車はシルバーで一杯。そのしわ寄せは全部若者。シルバー大国日本です。
今注目のミャンマー、月額3000~4000円程度の給与水準ですよ。企業はアジアへまだまだ流出する。遂に国の借金は1000兆円超えた。
金が金を生む施策がない。プレミアム商品券見てください。再生産に全くつながらないよね。昔ながらのばらまきじゃないですか。どうせ地方にばらまくならシングルマザーとかに使うべきだと思うけどね。地方創生はうまく行かないね。
- 村山祥栄
- それはその通りですね。京都党はプレミアム商品券も反対しました。
やっぱりおかしいものはおかしいですから。
- 福岡政行
- とにかく今は地方が出来ることをしっかりやる。京都市でいうと、幹部職員の退職金が2600万から3300万円ですよ。民間企業並みだというけど、京都の企業でそんな退職金出る企業ありますか?信用金庫あたりだと1000万円台でしょ。
- 村山祥栄
- 感覚がずれてる。我々も人件費については随分と指摘をしておりますが。
- 福岡政行
- 認めないでしょ。特に京都市は排他的。認めないのよ。違う意見があっても認めないんだから。それじゃ変わらないよね。
- 村山祥栄
- 仰る通りですね。厳しい声も受け入れ、改めていく。そうでないと良くはならないですね。まぁ、そうなれば我々ももう少し楽なのですが(笑)
- 福岡政行
- 少し前の話だけど、後輩のユニクロの柳井会長に会ってね。ちょうどヒートテックが2000万枚販売達成したときだった。でも彼は「次どうするかが勝負です。」って言うの。まさにそこだと思うわけ。次どうするか。行政はそこが弱い。
- 村山祥栄
- どうしても、これまでがこうだからこうって前例主義になっちゃうんですね。
- 福岡政行
- それがだめ。ダーウィンは進化論で言ってます。
「強いものが生き残るんじゃない。環境に適応できるものが生き残るんだ」と。
でも、京都には力がある。そして、君たちのように原点を愛する奴らがいる。だから、大いに期待したい。いつまでもその姿勢で頑張って下さいね。
- 村山祥栄
- これはうまく締めて頂きまして(笑)ありがとうございました。