江村理紗(右京区選出) 令和5年5月市会 代表質問

コロナ関連経費の適正化に向けた徹底調査

・質問のポイント
近畿日本ツーリスト等の過大請求が問題となる中、本市でも日本トータルテレマーケティング(NTM)へのコールセンター委託業務で約4000万円の過大請求が発覚しました。契約期間全体での慢性的な人員不足や過大請求の疑い、市民への報告遅延、市の管理体制の甘さを指摘しました。また、事後もNTMの入札参加を許した点や、庁内での処分方針の見解の齟齬を厳しく追及し、入札参加停止措置など、不正を許さない厳格な対応と再発防止策を強く求めました。

まず冒頭に、4月の京都市会議員選挙におきまして、地域政党京都党は5名の議員を選出いただきましたこと、市民の皆様の御支持に心から感謝申し上げます。京都市の財政危機がいよいよ深刻化し、市政の健全な運営を求める市民の皆様の意識が一層高まっていると感じております。本議員団は、徹底した役所改革により無駄のない持続可能な財政運営を実現し、子育て世代・現役世代への重点的な投資を行い、そして京都経済の活性化を目指すという軸を据えて期待感の持てる京都市政の実現に向け、一丸となって取り組むことをお約束します。

 それでは質疑に移らせていただきます。新型コロナワクチン接種に関わるコールセンター業務で、近畿日本ツーリストが最大で約16億円の過大請求があったことが今月発表され、衝撃を受けました。本市においても同様の事案が発生し、日本トータルテレマーケティング、以下NTMに委託した新型コロナワクチンのコールセンター業務で、約4,000万円の過大請求があったと一部メディアが報道しております。現時点で過大請求と判明し、返還されたのは昨年9月分の約4,000万円ですが、NTMと本件で契約をしていた期間は2021年2月から2023年3月の2年強であり、本委託の業務関係者からは、オペレーターは慢性的に足りていなかった、そもそも本市との契約は9時間勤務となっているところ、実態は8時間勤務のスタッフが大半を占めていたなどの指摘もあり、既に10月から12月も61パーセント、70パーセント、79パーセントと、依頼より少ない実働であったことで慢性的に過大請求があった可能性も否定できません。これまで、市民の皆様より、新型コロナワクチン接種のコールセンターに電話がつながらないとの御相談を私も含め多くの議員が受けたと思います。体制の強化が図られながらも、現場で人員が埋まらず、想定していた処理が行われていなかったことは大変残念でなりません。まず、4,000万円もの過大請求を委託先が認め、返還がなされた時点で、議会には報告をすべきだったのではないでしょうか。4月に報道されたのも、京都市側からの発表によるものではありません。これまで議会にも市民にも一度も自発的な報告がなされていないのは、京都市の姿勢が問われます。市民サービスに直結した業務であり、しかも4,000万円という大きな規模であることを考えると、過大請求の事実が確定した本年1月時点で早期に報告すべきだったと強く感じます。そもそも当初の契約で、勤務実態を確認できるものを求めていなかったことに本市としての責任があり、本件にかかわらず類似の委託業務については確認資料を求めることを徹底いただきたいと思います。さらに、委託先のデータ改ざんリスクに対しては、見過ごすと多額の過大請求が生じるおそれがあります。それを防ぐためにも、不定期に現場を視察したり、同様の問題が再発するのを防ぐ仕組みを構築するなどの措置が必要であると考えます。これにより、市民の皆様との信頼関係も保たれます。今後の再発防止対策として、契約書にオペレーターの勤務実態に関する詳細な報告を求めるよう講じたことは必要な措置だと思いますが、過大請求を行った業者への適切な処分も検討すべきです。先に述べた近畿日本ツーリストから過大請求を受けた自治体では、1年間の入札参加の指名停止などの対応がなされております。一方、本市は、1月にNTMが過大請求の事実を認め、2月に返還がなされているにもかかわらず、同2月に実施した同業務の公募においてNTMも参加しており、別業者が選定されたとはいえ、過大請求を行った業者が入札に参加していること自体、適切な対応と言えるでしょうか。そして、NTMへの対応については、医療衛生推進室が事務的なミスであるため処分は考えていないと述べる一方で、契約課は全体像を確認中で、まだ対応を決めていないとの見解を示しています。これら二つの見解の違いについても御説明いただけますでしょうか。いずれにしても、京都市競争入札参加停止取扱要綱に照らし合わせると、ミスであれば粗雑履行、その他契約違反に、故意であれば不正、または不誠実な行為に該当する事案と捉えることができ、ほかの自治体の対応もそれに準じたものと言えます。今後の対応も含め、京都市として、不正を許さない徹底した対応を行うことを強く求めるため、今後の御対応を改めて御答弁いただきたいと存じます。

認知症の早期発見と対策

・質問のポイント
高齢化が進む本市で、認知症の早期発見・対策は急務です。根本的治療法がない中、初期段階で進行を抑える新薬の登場や、本市の企業・島津製作所が開発した少量の血液による画期的な診断技術など、早期発見を後押しする環境が整いつつあります。発症抑制や進行遅延は市民の安心に直結し、将来的な医療・介護費や家族の負担(インフォーマルケアコスト)の削減にも繋がります。この技術革新の好機を捉え、市長の積極的な見解を求めました。

次に、認知症の早期発見と対策について伺います。団塊の世代が75歳以上に到達する2025年、65歳以上の5人に一人が認知症という時代を迎えます。京都市では、2022年時点で人口の28.4パーセントが65歳以上となっており、2020年の最新の国勢調査でも、政令20市の中で6番目に高齢化が進んでいる状況です。最もなりたくない病気として、がんと同等か、それ以上に認知症は恐れられています。しかし、その原因やメカニズムについては、世界中で様々な研究が行われているものの、まだほとんどの症例に対する根本的な治療法は見つかっていません。そんな中、2022年9月、認知症の約7割を占めるアルツハイマー型認知症の新しい治療薬が承認間近であることが発表されました。数年以内にはこの薬が病院で扱われる段階に来ており、認知症の初期の段階で使用できれば、これまでは難しいとされていた認知症の治療が可能となります。元々早期に気付けるほど、生活習慣等の改善で進行を遅らせたり、症状の軽減、改善が期待できるとされる中で、今般の新薬の動きも含め、なお一層認知症の早期診断の必要が高まっております。京都市では、早期発見に向けチラシやガイドブックにチェックリストを設け、認知症初期集中支援チームやサポート医につなぐ体制が組まれていることは伺っております。そのうえで、更に自治体のアプローチとして御注力いただきたい動きがあります。京都の老舗企業である島津製作所にて、少量の血液からアルツハイマー型認知症の診断を行える技術が開発されております。そして、この血液バイオマーカー検査の技術を用い、島津製作所やエーザイ、大分大などと共同して、認知症を疑う水準にあるか否かを患者に告知し、患者への心理的影響を調べる大規模な実証実験を大分県臼杵市にて行われています。かかりつけ医も含めたアルツハイマー病の新たな診断ワークフローを組むことで早期発見をスムーズにし、安心して生活できる社会インフラの整備に向け取組が進められております。これまで認知症は、どうせ治らないなら診断されても意味がない。認知症と分かるのが怖いだけと、自治体として、早期発見を後押ししようとしても、個々人単位で予防に取り組んでもらうまでに大きな壁がありました。しかし、認知症の早期発見技術や初期段階での進行抑制が期待できる新薬の登場により、行動の変化を促す新たな可能性が生まれています。認知症の診断後の共生社会の構築はもちろん重要ですが、できるだけ症状の発症を抑制し、進行を遅らせることが最善の選択肢であることは間違いありません。このような体制の構築に自治体が積極的に取り組むことは、市民の生活の安心に大きく貢献します。この取組により将来的な医療費や介護費、そして家族などによる無償の介護に掛かる時間を本来得られてきた賃金として捉えた際のインフォーマルケアコストの削減も期待できます。この好機を私たちの市が積極的に捉え、技術革新に大きく寄与している事業者が我が市の企業であるという事実を最大限に活用するべきだと考えます。この点について市長の御見解をお示しください。

3 外国資本からの不動産投資による自治体発信

・質問のポイント
外国人観光客や不動産投資の増加に伴い、外国人による土地購入への不安の声が市民から寄せられています。特に本市では、文化財修復を支える梅ケ畑の天然砥石山など、貴重な資源地が外国資本に買収され、調達に支障が出る懸念が生じています。土地利用規制法による制限は一部に留まり、海外所有者との連絡難や安全保障上の問題リスクに対し、総合的に担う部署がありません。行政から関連団体等へリスクを正しく周知・啓発するよう強く要望しました。

続いて、外国資本からの不動産投資による自治体発信について伺います。外国人観光客が戻りつつある今、市民生活との調和が引き続き問われるところですが、昨今それと同時に、市民の方から少なからず不安のお声を頂いてるのが外国人による土地購入です。日本は外国人投資家にとっては割安感があること、永久所有権が得られること、不動産購入に当たり、外国人を対象とした規制がほとんどないことなどの利点により、不動産投資先として人気があります。とりわけ京都は、伝統的な京町家が魅力であり、主にホテルなどの宿泊施設へと建て替え、ビジネスチャンスとして捉える動きも目立ちます。そんな中、先日、砥石職人の市民の方から御相談を受けました。この方は、国内最高級の品質とされながら、30年以上生産が途絶えていた梅ケ畑の天然砥石の復活を実現され、よい砥石を生み出すことが1000年以上もたつ木造建築の木材加工に役立ち、ひいては文化財を守ることにつながると尽力なさっておられます。御相談内容は、数年前から中華圏のお客様より、砥石の資源である砥石山の所在、地権者、買うとしたら幾らであるかと迫られ、さらには、市内の日本国籍の企業に通じて、ほかの砥石山の立入りや買収を地権者に打診しているとのことで、資源地を買収されてしまうと文化財の手入れに必要な砥石の調達に大きな支障が出る可能性があるとのことでした。外国資本による日本の土地買収は、2021年の土地利用規制法の成立により、安全保障上重要な施設の周辺などの土地利用に関しては、その利用行為に限り制限を加えられることになったのは一歩前進です。とはいえ、それ以外に制限を掛けられるものではありません。開発や雇用創出が期待できる一方で、災害復旧や公共事業で所有者の同意が必要な場合、海外の所有者との連絡が難しいことや、不法投棄、水源地や資源地の奪取、一つの地域を集中して買収された場合の地元の利益及び安全保障上の問題が生じる可能性もあります。しかし、現時点で本案件を総合的に担う部署はありません。京都市としてどのように捉えているのか何らかの対策が必要と考えますが、市長の御見解をお示しください。今後、土地利用規制法は600か所以上の指定が想定されており、京都市にとっても無視できない課題となります。加えて、今回御相談の市民の方も、土地所有者の方にそのリスクを御理解いただくことが難しいとおっしゃっておられるのが大変心に残りました。経済の活性化に向け、世界の投資を呼び込むこととの天びんに掛ける側面もありますが、外国資本の日本の土地買収に関するリスクを正しく行政から周知いただけることが、まずもって必要であると思います。不動産投資が加速しているこの京都市において、関連団体へのリスクの周知など積極的に取り組むよう強く要望します。

 以上で私の代表質問を終えます。御清聴誠にありがとうございました。