大津ゆうた(中京区選出) 令和5年11月市会 代表質問

■長寿化社会の中で増え続ける孤立死への対応について

・質問のポイント
孤立死の増加に対し、京都府と連携した実態把握とデータ分析を求めました。担い手不足を見据え、ICT機器等の見守りツールの導入補助を提案するとともに、高齢者の入居を阻む経済的リスクを解消する仕組みの構築や「すこやか賃貸住宅」の拡充、孤独死保険の普及について市の見解を問いました。

中京区選出の大津裕太です。維新・京都・国民市会議員団を代表して、市政一般について質問致します。先ず、長寿化社会の中で増え続ける孤立死への対応についてです。

孤立死は、まだ明確な定義が定まっていませんが、「誰にも看取られず亡くなり、死後一定期間経過してから発見されること」というのが一般的な考え方です。また、全国的な統計も存在していないため、正確な数字は不明ですが、内閣府の公表している高齢社会白書によると、東京23区内における一人暮らしの65歳以上の自宅での死亡者数が大幅に増加しているという東京都監察医務院のデータから類推し、同様に孤立死も増加しているとしています。

また、私は消防団に所属して活動していますが、救急出動で孤立死が発見されるケースが増えているという体感もあります。孤立死は、亡くなれてから発見まで時間が掛かることが多いため、ご遺体の損傷も激しく、亡くなれた方の人間としての尊厳を損なうものであり、また、ご遺族や近隣住人、家主などにとっても大きな心理的な衝撃や経済的な負担があります。傾向としては、今後も孤立死は増え続けることはほぼ間違いなく、行政としても孤立死をいかに防ぐかは重要な課題であります。

先ほども申し上げました通り、孤立死は全国的な統計がありませんが、東京都と大阪府・大阪市、鹿児島県などは独自に把握に努めております。大阪府・大阪市は、人数だけでなく、孤立死された方の年齢や性別などのデータ分析をして実態把握に動き始めています。

孤立死の増加は、一般論としては、長寿化、核家族化、未婚化、コミュニティの希薄化などが原因として挙げられますが、個別にみると実に複雑な要因が折り重なっています。専門家も、孤立死対策にはデータは不可欠で、実態把握の動きを全国に広げるべきだと意見されています。

実態把握の実務は、警察に担っていただくことになります。京都府と協調・連携し、京都府市の孤立死に関わるデータ収集と実態把握、傾向の分析をしていくべきでないでしょうか。また、これは同時に、多くの方に孤立死の課題について知っていただくためにも必要だと考えます。お考えをお聞かせ下さい。

本市の孤立死に対する施策は、孤立死に特化したものではありませんが、孤独・孤立対策の取り組みの一部として行われています。

ひとり暮らしの方が、急に体の具合が悪くなった時に緊急ボタンを押すと消防指令センターに通報される「あんしんネット119」をはじめ、民生委員や老人福祉委員の皆様による見守り活動、高齢者サポート職員による訪問活動などの取り組みがなされています。

しかし、ひとり暮らしの高齢者は増え続け、逆に見守りの担い手は減少することが予測され、

今後はこれまで以上に孤立死の防止は困難になると推測できます。

従来から言われている通り、自治会や地域活動をはじめ、近隣住人や社会との接点をもってもらえるような取り組みは根底として欠かせません。一方、様々な理由で近隣住人との交流を嫌がられるか方も多いのも現実です。

デイサービスなどの介護サービスや宅食サービスを利用していただくのも1つの方法ですし、特別養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に入居していただくのも1つの方法です。特に、経済的な理由や要介護度が低いなどの理由、入居順番待ちなどで、特別養護老人ホームに入れない・入らないケースを改善・見直していくことも必要ではないかと思います。

また、以前から電気ポットの使用状況で見守りを行うサービスがありますが、技術進化もあり、人感センサーや緊急通報サービスによる24時間体制の見守りや、コミュニケーションロボットとクラウドサービスを活用して遠隔コミュニケーションや見守りなど、テクノロジーを導入することで高齢者の孤立死を防ぐ取り組みが広がっています。

こういったツールを積極的に後押しする自治体も増えてきておりますが、本市でも、ひとり暮らしの高齢者の見守りに掛かる積極的な情報提供やICTをはじめとした見守りツール導入への補助等の取り組みも検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

孤立死は、お亡くなりになってから発見されるのが時には長期間かかるため、ご遺体が腐敗し、不動産が毀損するケースも多くあります。こういった場合、ご遺族が原状復帰等の経済的負担をすることが一般的です。しかし、孤立死される方の場合、近親者がおられないことも多いため、近親者がおられなければ家主が負担することになります。これらの経済的負担は、金額も小さくなく、百万円以上にのぼることも少なくありません。

こういった孤立死による経済的なリスクも一因となって、高齢者、特に単身の高齢者が家を借りようとしても断られてしまうことが多くあります。人口減少により、空室も増えていく中で、高齢者・家主の双方にとって、この問題は解決していくべき課題です。

本市はこの課題に対して、高齢であることや障害があることを理由に入居を拒まない賃貸住宅である「すこやか賃貸住宅」の拡大と情報提供に取り組んでおられます。大変良い取り組みではありますが、例えば、私の地元の中京区で登録物件は23件、全市でも300件未満とまだまだ量の面で足りておりません。

「すこやか賃貸住宅」が広がらない最大の理由は、多くの高齢者が連帯保証人を立てられないことです。本市は家賃債務保証制度の案内もされていますが、「すこやか賃貸住宅」が広がらない背景には、これらのサービスが家主にとって不十分だからではないでしょうか。

そこで、本市には、高齢者住宅財団などの家賃債務保証に取り組み諸団体や宅建業者とも連携し、家主が高齢者の入居を受け入れやすい仕組みの構築を改めて検討し、「すこやか賃貸住宅」の拡充に更なる注力をしていただき、また、あわせて、孤独死保険の普及にも尽力いただきたく思いますが、ご見解はいかがでしょうか。

民間活力の活用について

・質問のポイント
行財政改革による市民サービス低下を防ぐため、民間活力を生かした「コスト削減とサービス向上」の両立を求めました。他都市の事例を挙げ、成果連動型の委託手法(PFS・SIB)のモデル事業への早期挑戦を提案し、市が検討する先進的な取り組みについて見解を問いました。

次に、民間活力の活用について、質問致します。

令和2年度に、門川市長が「このまま何も改革しなければ、財政破綻しかねない」と公表して以来、墜落を防止すべく、行財政改革計画が断行され、本市の財政は一定の改善がされ、現在は当面の間の墜落は回避できた状態にあります。

しかし、行財政改革計画では、行政サービスのカットと値上げが中心で、市民サービスの向上に資する改革は多くありませんでした。墜落を回避するという緊急性から、やむを得ない側面もありましたが、コストを下げた分、行政サービスも低下するというのは改革とは言えないと私は考えております。コストを下げながらもサービスを向上させるために知恵を絞り実行していくことが、本当の改革であり、当面の間の墜落が回避できた今、改めて向き合っていかなければいけない取り組みです。その方向性としては、テクノロジーの活用と民間活力の更なる活用が現実的な選択肢です。テクノロジーの活用、とりわけDX化に関しては、9月市会の市長総括質疑で質疑致しましたので、今回は、民間活力の更なる活用に絞って、市長のお考えを伺います。

本市でも、生徒数の増加や少人数教育にも対応できるよう、校舎・グランドの面積を最大限確保すると同時に、中京区東部の地域に必要性の高い老人デイサービスセンター・在宅介護支援センター・乳幼児保育所、御池通にふさわしい賑わい施設やオフィススペース等を併設する複合施設の整備を行った、京都御池中学校・複合施設整備事業を皮切りに、分譲マンションと公園を一体整備した八条市営住宅団地再生事業、上層階をテナントとして整備した上下水道局南部拠点事業など民間資金と活力を活用して公共施設を整備するPFIの手法が取り入れられてきました。

また、市有地の活用方法を民間事業者から幅広く提案していただくサウンディング調査や、企業が提案した解決すべき課題に自治体が取り組む逆プロポーザルなど、民間からの提案を起点に行政サービスを設計する官民共創の取り組みも始まっています。

一方で、自治体から民間事業者に業務委託する際に、成果に応じて委託料を支払うPFSや、PFSを発展させ、その運営資金を民間投資家から募るソーシャルインパクトボンドに関しては、遅々として進んでいません。

PFSやソーシャルインパクトボンドは、成果に応じて報酬が支払われるため、民間事業者の事業改善努力が促進され、また、費用対効果が高まりワイズスペンティングが図られるというメリットに加え、民間事業者のノウハウを活用して新しい行政サービスを実施する際の試行と検証ができるというメリットもあります。

天理市では、学習塾のKUMONと提携し、認知症予防のソーシャルインパクトボンド事業として行いました。高齢者が計算問題などを解く活脳教室に参加することで、認知能力や記憶能力の簡便な検査であるMMSEの数値が改善されるという成果に対して、成果連動で委託費が支払われます。また、認知症が予防されることで、医療や介護に掛かる行政コストが下がりますので、そのお金を報酬原資にすることで、民間でファンドを組んで運営されました。自治体は、コスト削減できた財源の一部を後払いで支払うだけで事業ができるというスキームです。

横須賀市では、日本財団と共同で、児童養護施設で暮らす子ども達への特別養子縁組をソーシャルインパクトボンド事業で行いました。特別養子縁組が成功すれば、子どもにとっても養親にとっても幸せなことであると同時に、行政にとっても児童養護施設で生活費等に必要な事業費が不要になります。これらの不要となる事業費を原資にすることで、運営がされます。

私は、平成30年の9月市会の代表質問で、先述の天理市が行った認知症予防のソーシャルインパクトボンドの事例を紹介し、また、自立支援介護の分野でPFSやソーシャルインパクトボンドの手法が導入できるのではないかという趣旨の質問をしました。

その後も、局別質疑などで取り上げた際には、導入のハードルはあるものの検討するとの答弁をいただいています。また、行財政改革計画のリーディングチャレンジにも「成果連動型民間委託(PFS)とソーシャル・インパクトボンド(SIB)の最大限の活用」と記載されており、本市もその必要性を認識されているかと思います。国でも、内閣府や経済産業省、厚生労働省をはじめ多くの省庁で、モデル事業の実施を推奨しています。政令指定都市では、例えば横浜市は、ソーシャルインパクトボンドを活用した妊婦へのオンライン健康医療相談やPFSを活用したひとり親家庭の子どもの学習支援がモデル事業として実施されました。福岡市でも、薬の服用の適正化する事業でPFSをモデル実施しています。

これらは、モデル事業でもありますので、課題もまだまだ多く、一足飛びに成果とはいかないかもしれませんが、本市でも早期にPFSやソーシャルインパクトボンドのモデル事業に挑戦すべきだと考えますが、お考えをお聞かせください。

また、PFSやソーシャルインパクトボンド以外でも民間活力の活用で現在検討されている先進的な取り組みがあれば、あわせてご紹介下さい。

以上で、私の代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。