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泉房穂明石市長「なぜ明石市だけ人口が増えるのか?!」
- 村山祥栄
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ご無沙汰しております。地域政党サミットイン神戸でご講演頂いて以来ですね。いや、あの機関銃のようなマシンガントークから発射される的を得た政策の数々大変興味深く拝聴しておりました。話を聞いて明石市民は幸せだなあと痛感しました。ということで、今日は改めてその魅力に迫りたいと思います。
早速ですが、なぜ、ほとんどの自治体が人口減少に苦しむ中、明石市だけ人口が増えているのですか?
- 泉房穂
- 答えは簡単です。引っ越しをして住みたいと思われるまちになればいいんです。ポイントは周辺との比較ですね。神戸市をはじめ周辺の自治体からの転入者が増えている。待機児童対策には充分な予算をつけました。中学校卒業まで医療費は全額無料。周辺なら3歳から医療費に金が掛かる。明石なら15歳まで掛からない。13年分の違いは大きいと思います。病児保育も2箇所作りました。保育所開園はもともと午前8時でしたが、市民の声を受けて7時スタートにしました。これらをしっかり訴えることが転入につながっています。
- 村山祥栄
- 人口を増やすうえでカギとなったのは?
- 泉房穂
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ターゲットは世帯年収が6~700万円の中間所得層です。共働き世帯で保育所希望者が多い。そういう層を呼び込んでまちの活力創出につなげたい。だから保育料無料化は所得制限なし、どなたも無料なのです。
そして、転入者のほとんどが20、30代。だから子育て支援、教育が重要です。30人学級、保育所定員1000人増、第二子以降保育料完全無料を9月から始めることを打ち出しました。結果、3年前に明石の人口は下落が止まり、上昇に転じた。地価を上げ、人口を増やし、市の貯金も増え続けています。
- 村山祥栄
- 人口問題に関心を持ったのは?
- 泉房穂
- 市長になるかなり前です。人口減少を食い止めるには短中長期それぞれのビジョンが必要。短期的には人に来てもらう。次に自然増施策を打つ。その点、フランスは参考になります。少子化が進んでいたフランスは3人子どもを産んだ女性は、老後の年金を増やすという施策を打っています。国、都道府県、市町村の上から下に、上から目線の統治はとうに終わっている。今は、国と自治体が対等な時代。しかし、やるべきことが増えているのに、金がない。右肩上がりの時代は10のことをやれと10の予算が付いた。11の仕事をやるのに11の予算をつけた。今は逆です。予算は8しかないから、地方は自分たちで必要なものを選んで8やれと。こういう時代になったわけです。これをしわ寄せと思うかチャンスと思うか。私はチャンスだと思って、市長へ転身したわけです。
- 村山祥栄
- でも、そのしわ寄せは思った以上に大きいものだったのでは?
- 泉房穂
- 例えば、市立小学校の運営管理の責任は市長にある。でも、先生は県の職員だから市長に人事権限がないんです。事件が起きても、管理上の責任はとるけど人事上の再発防止ができない。その点、大阪の橋下元知事はいいことをした。大阪府の教育権限を市へ移管したのです。でも全国的にはこのちぐはぐが起きている。いかに整理していくかが重要です。
- 村山祥栄
- 一方、明石市では色々な専門職を採用され話題になっていますが。
- 泉房穂
- 即戦力の採用です。明石市では弁護士を7人、手話通訳士を3人、臨床心理士など、専門職を正規職員として雇用しています。多様化するニーズに徹底的に応えていくためです。
昨今、知的障害者や精神障害者を民間企業で雇用するよう奨励しているが、行政は採用していない。民間にだけというのはおかしいと思い、障害者の自立と社会参加を積極的に進める明石市として、障害者を積極的に雇用しています。
- 村山祥栄
- すごいですね。言われてみれば確かにです。
まさに目から鱗というか、コロンブスの卵というか。
- 泉房穂
- 全ては発想の転換。金も人も減るが、市民ニーズは高まる時代。大切なのは市民に近いかどうか。国が上で地方は下だという人がいるが、本当にそうでしょうか。国の方が地方より市民に遠い。泣いている子が目の前にいる、これが地方だ。近いところが頑張る。これが基本でしょう。
市役所では人がない、金がないという。そんなことはない。公務員はみんな優秀です。適材適所、使いこなすことが大切です。今年から30代の課長を作りました。優秀な職員は年功序列を超えて、どんどん重用します。
お金も同じで、やりくりして使い道をどうするか。保育料の第2子以降無料化の実現にも7億円必要だったが、公共工事の見直しなどで捻出できました。結局、首長が本気になれば出来るわけです。では、全ての市営住宅の新規建設はやめました。老朽化した市営住宅は売るか、一部グループホームなどに貸す。人件費についても、手当を削り、残業を減らして定時退庁を促すなどやり方はあります。
そうして、子育て支援に金を充てています。国主導のプレミアム商品券も半分は弱者救済のために、1人親や障害者に支給した。残りの半分も、他のまちでは5000円払えば1000円分行政が負担して6000円分の商品券がもらえましたよね。明石市では4000円で6000円分にした。その2000円のうち半分の1000円は、市ではなく商店街にも負担してもらったんです。工夫次第で色々やり方はあるんです。
- 村山祥栄
- 獅子奮迅のご活躍ですが、次の目標は何ですか。
- 泉房穂
- 市長とは地域経営者として、時代を先取りし、市民ニーズに応える。これに尽きる。次の戦略は明石のトリプルスリー戦略!人口減時代に人口30万人達成、赤ちゃん(出生数)3000人(現在2570人)、そして文化の向上として本の貸出冊数300万冊(現在220万冊)、これを基本に政策を打っています。
メディアに対して仕掛け作りをし、観光客を呼ぶ。住みたくなるようなお得感を打ちだし、転入をまちに呼び込むことです。次の戦略は「関西に転勤決まれば明石に住もう」という仕掛けを東京に向けて発信します。今ネットで、関西、引越と検索すれば「明石」と出るように指示しています。シティブランドのアップに向け、駅前ビルには大型書店と市立図書館を設置します。結果「駅前に100万冊の本が揃うまち明石」として文化的イメージを向上させたいと考えています。
- 村山祥栄
- どれも的確で非常に魅力的な取組の数々ですね。何より一刀両断、真理をズバリと突いた視点と確固たる信念に基づく政策の実践には敬意を表します。京都でも是非頑張りたいと思います。益々のご活躍をお祈り申し上げます。