対談:『松沢成文 参議院議員 X 村山祥栄』
対談:『松沢成文 参議院議員 X 村山祥栄』
- 村山祥栄
-
お久しぶりです。今日はありがとうございます。
- 松沢成文
-
かれこれ20年以上のお付き合いになりますか。京都党を作って頑張ってますね。最近は天皇陛下、京都お戻り運動が注目ですね。
- 村山祥栄
-
よくご存じ頂いてありがとうございます。上皇に京都御所にお住い頂きたいと願っています。
- 松沢成文
-
私ははっきりと天皇が京都に戻るべきだと思います。天皇陛下は日本の歴史の象徴です。明治時代になって天皇陛下は象徴から統治者に変わってしまった。だから幕府のあるところ、要は政府のあるところに置かざるを得なかった。しかし、再び象徴にお戻りなったわけですから、東京にいらっしゃる必要がない。むしろ、政治と距離を置いて、京都で文化的な日本の歴史をこれまで通り紡いで頂きたいと思います。
- 村山祥栄
-
これは心強いメッセージです。ありがとうございます。さて、松沢議員は県知事で県政改革を実践され、その実績を再び国へ帰って「地方から国を変える」ということを実践されています。ひとつは受動喫煙でしょうか。
- 松沢成文
-
受動喫煙防止条例は日本で最初に神奈川県で作りました。国会に戻った今は、国での整備を進めるべく、受動喫煙防止の質問を、厚生労働委員会、予算委員会、文部科学など、どこへ行ってもしつこく質問していますね。かれこれ15回ぐらい質疑してますか。
- 村山祥栄
-
やっぱりしつこくすることですね。
- 松沢成文
-
最近は私が登壇すると安倍総理が「また、たばこ?」って言うようになってきた。(笑)
- 村山祥栄
-
しかし、条例を作るのも、法律を作るのも半端じゃない。抵抗勢力多いでしょう。
- 松沢成文
-
特に国会議員は財務省に睨まれたくない。たばこ業界は財務省の金城湯池ですからね。あとは、JT、たばこ組合、あとは飲食、風俗、パチンコと喫煙と縁の深い業種に応援されている人たちが徹底して反発している。
- 村山祥栄
-
業界団体の圧力ですね。財務省はなぜですか?
- 松沢成文
-
一番大きいのは株の配当です。国はJTの33%の株を持っている。この配当だけで600億~700億あります。財投の最有力原資です。だから、JTだけは特別優遇されています。たばこの葉っぱは100%買い上げ、他国のたばこ会社は日本でたばこを作れないようにしているなど、とにかく財務省は徹底的に彼らを守る。結局、財務省の子会社ですよ、未だに。
- 村山祥栄
-
なるほど。しかし、国もいよいよ動きだしましたね。
- 松沢成文
-
骨抜きにされつつありますが、オリンピック開催という追い風もあって何とか国も法令整備ができると思います。
- 村山祥栄
-
高校の日本史の必修、これも神奈川改革の大きな実績ですね。
- 松沢成文
-
これまで、高校生は地理か日本史を選択して授業を受けることになっているので、しっかり日本史を勉強している子は半分位しかいない。一番大事な歴史の勉強をせずに大人になってしまう。これはいけないということで徹底的にやりました。
- 村山祥栄
-
受験勉強以外の授業をさせるとはどうなのかと批判も多かったと聞いています。
- 松沢成文
-
かなり反対が多かったのは事実ですが、近現代の歴史の重要性を説いて実現させました。その後、国会に戻り、文部科学省を熱心に説き、近現代の日本史の教科書も出来ました。そして、高校の日本史が必修になりました。
- 村山祥栄
-
神奈川からの改革が成就した大きな成果ですね。地方から国を変えた一つの事例ですね。地方の立場としては誇らしい。
さて、今日の本題、江戸城の天守閣再建計画について伺いたいと思います。かなり突飛にも聞こえますが、民間活力で文化財整備をすると聞いています。これが出来れば、京都にとっても重要な事例になるのではないかと思います。しかし、なぜ、今、江戸城の再建なんでしょう?
- 松沢成文
-
これは日本の文化の成長戦略です。日本の、東京の文化観光のシンボルを作らないと行けない。観光客はそのシンボルを目指してやってくるわけです。
- 村山祥栄
-
シンガポールで言えば、かつてはマーライオン、今はビルの上に船が乗ってるホテル、マリーナベイサンズみたいなものですね。
- 松沢成文
-
ビックベン、ベルサイユ宮殿、凱旋門、故宮と世界中歴史的価値のある町は歴史的価値のある代表的建造物がある。ニューヨークは歴史が浅いですが、摩天楼あたりがニューヨークを文化的な代表する建造物です。しかし、江戸は大火が多すぎたこと、関東大震災、東京大空襲とあって、今は浅草位しか歴史的建造物は東京にはないのです。じゃあ、あきらめればいいの?となるけど、そうじゃない。今作れば、未来の最高の贈り物になります。
- 村山祥栄
-
ドバイは同じ発想で、世界一の建造物バージカリファをはじめ、次々と新たな建造物を作っていますね。ないなら作ればいいと。
- 松沢成文
-
ただ、ドバイと違うのは、我々が作るのは文化的な価値のあるものです。日本の伝統技術の粋を集め、木造建築で作る。例えば、名古屋城は鉄筋コンクリートで作った。当時は鉄筋コンクリートが最先端建築でしたからね。大阪城に至っては設計図が残っていないのでは、本来の姿ははっきりわからない。これも鉄筋で作ってしまった。なので、どちらも文化的価値がない。それに引き換え、江戸城は設計図が完璧に残っているので、木造で復元ができます。もっと言うと、今、完全復元できるのは江戸城ぐらいのものです。復元できれば世界で最も大きな木造建築が出来上がります。しかも、お城です。
- 村山祥栄
-
しかもお城とは?お城が希少ということですか?
- 松沢成文
-
ずばり希少です。そもそも、寺社仏閣は比較的残りやすいですが、政治的な建物は残りにくいわけです。寺社仏閣は、原爆投下したアメリカですら破壊しなかった。攻撃対象にもなり難いので、残ります。一方、文化大革命と同じで、政治的建物は統治体制が変わると過去の建物を潰してしまう。江戸時代には諸藩大名の勢力を削ぐ為に一国につき一城だけという一国一城令を出して、それ以外のお城を破壊させました。そして、明治時代の廃城令で更に潰され、全国に12しかオリジナルの木造天守閣は残っていないのです。
- 村山祥栄
-
そういわれると本当ですね。京都にある二条城も、あれは元離宮(陛下の元別荘)ですし、伏見桃山城も昭和に再建したレプリカで、確かに寺社仏閣しか残っていませんね。
- 松沢成文
-
そしてもうひとつは木造で作るということです。
- 村山祥栄
-
近年木造建築の技術、集成材の進歩で、相当大きな木造建築が出来るようになって参りましたから、耐震基準なども含めてクリアできるかもしれませんね。問題は当時の建築技法で建築できる職人がいるかどうかですね。
- 松沢成文
-
日本の建築技法は釘を使わない。組み木だけで作る。まさに宮大工の技術ですね。このプロジェクトのいいところはこうした日本の木造建築技術の継承も出来る。逆に言うと継承するためには大きなプロジェクトをやらなきゃならない。日本に本物の宮大工はたった200~300人しかいない。
- 村山祥栄
-
お伊勢さんの式年遷宮と同じですね。正直、今は宮大工をしっかり育てるだけの仕事がない。これは大きいですね。しかし、問題は財源がない。
- 松沢成文
-
いいですか。少し考えてください。財源がない、金がないと言っているのは、国です。一方、民間は金が余っています。これからのポイントは民間資金で築城できるビジネスモデルを作ることです。国の金、自治体の金でやってはだめなのです。
- 村山祥栄
-
なんと!では、具体的な計画を教えて下さい。
- 松沢成文
-
場所は皇居の東御苑。構造は縦地割図(設計図)通り、木造五層六階で完全復元です。総工費は約400億程度でしょうか。そして、これを民間資金だけでやる。
- 村山祥栄
-
民間がこんな文化事業をやるものでしょうか。
- 松沢成文
-
来場者数でいえば、大阪城で200万人、スカイツリー600万人ですから、完全復元できれば、私は年間500万人位来るのではと見ています。一人あたり入場料を1000円取れば、年間入場料だけで50億円、10年で回収できる。これなら銀行も融資します。入場料だけで修復や拡大をしていっても十分利益を出せるモデルを作れるわけです。経済波及効果は年間1000億程度になると見ています。宮内庁が土地を貸す形になりますが、どんな契約をするかによりますが、その仕様によっては更に大きな収益が出せるものになります。
- 村山祥栄
-
すごいですね。儲かる施設に出来ちゃうんですね。
- 松沢成文
-
これを起爆剤にして、東京の街の再興をできるかどうか、これが問題です。
- 村山祥栄
-
具体的に何が必要でしょう?なんでも揃っていて羨ましい限りですが。
- 松沢成文
-
東京の問題は観光客が来ても楽しくないことです。まず歴史的観光名所が少ない。江戸城を皮切りに日本橋魚河岸、これを再現したら江戸時代の経済が見える。次に明治の旧東京駅舎を再現する。これら東京駅半径二キロ位ですべて収まる文化ゾーンを作る。併せて水上運河を観光資源にする。昔は東洋のベニスと言われた位、運河が発達していた。これはすでに日の丸自動車にお願いして、隅田川に水陸両用観光バスを導入して貰いました。これも税金0で、民間活力で観光資源を創出していくことです。
- 村山祥栄
-
東京には東京のビジョンが必要なのですね。また、何でも行政がやるのではなくて、民間活力を生かした街づくりがこれからの戦略ですね。本日はありがとうございました。